店頭デリバティブ取引報告制度の変更について

店頭デリバティブ取引報告制度の変更について

金融商品取引法の改正により店頭デリバティブ取引報告制度の内容が変更になることが見込まれております。本稿では制度の内容および変更に伴うシステム対応についてまとめます。

店頭デリバティブ取引報告制度の導入の背景

2008年秋のリーマンブラザース社の破産は連鎖的に大手金融機関の経営危機を招き、リーマンショックとなり金融危機を加速化させるにいたりました。これを契機にバーゼル規制の見直しが行われ、また、拡大していた店頭デリバティブについても規制強化がはかられ、2009年に開催されたG20ピッツバーグ・サミットにて店頭デリバティブ市場の改善、国境を超えた破綻処理を含むシステム上重要な金融機関の問題への対処等、金融規制改革として以下のような方針が出されました。

  • 全ての標準的店頭デリバティブ取引は、取引所ないし電子取引プラットフォーム上で行われるべきである。
  • 全ての標準的店頭デリバティブ取引は、中央清算機関で清算されるべきである。
  • 店頭デリバティブ取引は、公的機関が運営する取引レポジトリに記録されるべきである。
  • 非中央清算店頭デリバティブ保有には、より高い自己資本賦課を求めるべきである。

G20での方針を受けて日本国内でも法制整備が行われました。具体的には2010年に金融商品取引法等を一部改正し以下のような義務を金融機関に課すことになったのです。

  • 一部店頭デリバティブの清算集中の義務化
  • 取引情報の保管義務
  • 取引情報の報告義務
  • 取引情報蓄積機関の設置

これらの改正を受けて、一定の条件の金利スワップやCDSについての清算集中が義務化されるとともに、店頭デリバティブは非清算集中の取引も含め、金融商品取引清算機関や金融商品取引業者は取引情報を保管するとともに当局に報告する義務が発生することとなりました。なお金融商品取引業者は新たに設置された取引情報蓄積機関を通じての取引情報を保管・報告とすることも可能となっています。

今回の改正内容は?

2020年に成立した金融商品取引法の改正では、清算機関、金融商品取引業者からの取引情報の報告先が1本化されすべて取引情報蓄積機関に報告・保存され情報の集中が行われることになります。現在、清算機関は当局への報告、金融商品取引業者等は当局もしくは取引情報蓄積機関への報告となっており1本化がされておりません。また日本では取引情報蓄積機関への取引情報の提供システムはあるものの多くの金融機関では取引情報蓄積機関ではなく当局への取引情報を行っているのが実態です。一方、各国では取引情報を取引情報蓄積機関に集中して、国際的な情報共有を進めているのに対し、日本も国際標準に合わせることが背景にあるものと思われます。

報告先一本化に合わせ予想される変更とは?

以上のことから、店頭デリバティブ取引報告関連の変更では、制度上は現在でもすでに取引情報蓄積機関は取引情報の報告先の一つとはなっているものの、実態は当局あてに報告している金融機関が大半となっているため、今後取引情報蓄積機関向けの報告に関する対応が必要となります。現段階では最終確定ではありませんが、必要になる対応として以下が見込まれています。

  • 報告フォーマットの変更
  • 報告項目の変更
  • 報告頻度の変更
  • 連携方式の変更

なお、実際の報告先変更の運用開始は2022年秋頃になる予定です。

NDFSの対応

弊社パッケージPrélude Enterprise(プレリュードエンタープライズ)では、当局向けの店頭デリバティブ取引報告用の帳票出力機能を有しており、各金融機関のユーザ様へ提供を行っております。今後は制度の変更に伴い、パッケージ機能の改修が必要であると理解しております。弊社では本制度変更に対応するべく専門のタスクチームを編成し、金融機関、監査法人、グループ会社含めてあらゆる方面から情報収集を行っております。2022年秋をターゲットとした場合、パッケージの機能改修から各お客様への適用の時間を考えるとあまり余裕はないと考えております。弊社システム導入済の金融機関様と連携を取りながら、制度変更に確実に対応できるよう取り組みを進めてまいります。


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