為替TARFの取り組み事例

為替TARFの取り組み事例

為替TARFとは?

TARFとは「Target Redemption Forward」の略称で、為替TARFは日本語で言うとターゲット条項付為替予約あるいは早期終了目標設定型フォワード取引等と呼ばれます。為替デリバティブの一種で、消滅条件付のフラット型の為替予約(ノックアウト・フォワード)と比較するとレンジ相場において有利なレートで為替予約を締結できると言われております。近年では地方銀行様が取引先の企業の為替リスクヘッジのための商品として提供されるケースが増えてきております。

本商品は従来のフラット型の為替予約同様に契約条件に従い、一定の頻度(例:毎月)で金額や行使レートに基づく為替の決済を行うことに変わりはありません。特性としては、各決済時の為替スポットレートと行使レートの差によって生じる累積収益の目標値(ターゲットポイント)を定めた上、実際の収益の合計値がターゲットポイントに達した時点で早期終了されるものとなります。なお早期終了時の利益判定のタイプとしては、以下の3つが挙げられます。

  • Full型:累積が目標に到達した回において決済が発生。
  • None型:累積が目標に到達した回では決済は発生しない。
  • Exact型: 累積が目標に達した回で 累積収益がちょうど累積目標分相当になるように決済。

この他にも、累積収益ではなく収益が発生した決済回数を目標とする回数判定型(Digital)TARF、トリガー条件を付与し為替レートがストライクとトリガーの間の場合はポジションが出来ないEKI(European Knock-In)TARF、損失が一定額(あるいは回数)に達すると早期終了するLoss Cap付のTARF等様々なバリエーションが存在します。

TARF商品を取り扱うための課題

企業の為替リスクヘッジの新たな手段として、また金融機関様にとっては新たな役務収益獲得の機会として注目を集めるTARFですが、金融機関様がこうした新商品を取り扱う際には様々な課題があると認識しております。いくつか例を挙げてみたいと思います。

  • 組織、体制面の課題

TARF限った話ではありませんがこうした新商品の取扱いに関しては、営業部門、市場部門、リスク管理部門、主計部門等、複数部署間で役割分担や体制構築の調整が必要となります。収益獲得の機会である一方で事務負担の増加の要因ともなるため、各部門では既存業務への影響も鑑みた上で、場合によっては要員を増強する等して体制を確保する必要も出てきます。

  • 時価評価、会計処理の課題

TARFはターゲットポイント含めてその商品が複雑であるため、時価評価にあたっては評価モデルを含めて高度な計算処理を必要とします。時価評価手段の確保、時価の妥当性の検証、会計適用に向けた準備作業も発生します。特に評価ロジックに関しては会計監査人との綿密な協議が発生することが想定されます。

  • システム対応面の課題

上記で挙げたような業務処理に対応するため、一定のシステム対応は不可欠です。しかしながら、TARFの約定管理、期日管理、時価評価、会計処理、対お客様向けの法定帳簿出力、他システムデータ連携機能の見直し等、既存システムへの影響範囲は多岐に亘るため、全て対応する場合だと開発コストが膨大となってしまいます。営業・利益計画を策定する際、システムコストが足かせになってしまい、取り扱いが見送りとなっては元も子もありません。また、開発規模が大きいほど開発期間も長期化することから、サービス提供開始時期が遅れることで機会損失を招く恐れもあります。

TARFのシステム対応事例

こうした背景を踏まえ、システム対応のコストや開発期間の短縮化さらにお客様の事務の効率化を目的として、為替デリバティブ評価の分野において豊富な実績を持つFENICS Software社(以下FENICS社)とアライアンスを結び、弊社市場系パッケージPrélude Enterprise(プレリュードエンタープライズ)とのデータ連携機能の提供を進めております。FENICS社が提供するサービスはプレーンなものからエキゾチックなものまで70種類以上の為替デリバティブに対応しております。取引管理、プライシング、時価評価、リスク分析、評価レート配信機能が強みであり、国内でも多くの金融機関が採用しております。

(ご参考)2016年10月24日付 弊社ニュースリリース:『通貨オプション管理ソリューション「FENICS Professional」と 市場系統合ソリューション「Prélude Enterprise」の連携機能がサービス提供開始 新たなデリバティブニーズにも短期間で対応』について

具体的には、FENICS社システムでTARFを含めた様々な為替デリバティブの取引管理、時価評価を行い、バックシステムであるPrélude Enterpriseへデータ連携を行います。これにより、約定管理、時価評価、期日管理、決済為替の管理、会計処理、CSA担保管理、関連システムへのインターフェース処理等、フロントオフィスからバックオフィスまでの一連の業務に対応いたしました。Prélude Enterpriseの対応をバックオフィス周辺に集中させたことで、コストや開発期間を大幅に圧縮することが出来たと考えております。弊社は当該機能をパッケージ標準の「FENICS連携モジュール」として整備を行っており、他金融機関様の実績に基づいた業務フローをセットにして各金融機関様へご提案、提供を進めております。

この他にもFENICS社とはFENICS Gatewayを活用した為替予約業務のSTP化(システム間の二重打鍵の排除)を目的とした取り組みも進めております。今回ご紹介させていただいたTARFの連携事例も含めFENICS連携モジュールの詳細については、以下のページに資料をまとめております。是非ご確認いただければと思います。

資料はこちらから

まとめ:新商品へ速やかに対応しビジネス機会を逃さない

今回は為替TARF取引について取り上げさせていただきました。低金利環境が続く中、金融機関様の市場部門の方々にとってデリバティブビジネスは極めて重要なものであると理解しております。デリバティブの新商品対応にあたっては、事務フローの整備のための社内調整やシステム対応等様々な課題に直面しますが、今回のように2つのシステムを組み合わせることで短期間かつ低コストで新規業務に対応した事例もございます。弊社は今後も金融機関様のデリバティブビジネスのさらなる発展をご支援できるようパッケージの拡充改善に力を入れてまいります。


参考:

  • 「為替ターフ」について (2018年11月16日 Prélude Enterpriseユーザ会 オーストラリア・ニュージーランド銀行様 講演資料 )
  • TARF概略 Target Accrual Redemption Forward (2015年7月23日 Fenics Software社 提供)